2017年03月10日

3/10の日記

昨日は国立劇場で通し狂言『伊賀越道中双六』を観てきた。

これは3年前に上演されて「読売演劇大賞」を受賞した作品
で、『伊賀越〜岡崎』で通っている。

播磨屋・中村吉右衛門一門による、よく練られた充実した舞
台となっていた。

華やかな歌舞伎狂言とは違って、地味で、「かぶく」という
よりも、演劇的要素が濃い作品なので、観ている方にも集中
と忍耐が必要だ。

「子殺し」場面がやはり辛い。

他の狂言でも「子殺し」はあるけれど、見えない場所で行わ
れるのに比べると、この『岡崎』では観客はその瞬間を目撃
しなくてはならないので、正面からこの事実と向き合わなく
ちゃならない。

その光景はショッキングだ。

この子殺しの前から始まる悲劇的な展開の場面で、観客席か
ら笑いが起こった時には、私は唖然とした。

なんでここで笑えるのか? 信じられない。

歌舞伎を観に来る人たちの多くは、年輩の女性だ。その人
たちが笑っている。

「そんなこと大したことじゃないわよ。」
「私なんかもっと辛い目に遭ったわよ。」

ってことなのか。

たかが芝居でしょ。そんなに深刻になることないじゃな
い。ってことなのか。

それとも、辛いことを笑って過ごしてしまおうってこと
なのか。

それとも、宮台真治言うところの「感情の劣化」ってや
つなのか。

舞台の役者たちの熱演に胸を熱くしながら、その笑い声
に苦い思いをさせられて、後味がいまひとつよくなかっ
た。

吉右衛門は体力的な衰えは隠せなかったけれど、演技の
充実は素晴らしかったし、雀右衛門の真に迫った演技も
素晴らしかった。

だから尚更あの笑い声が残念だし、腹立たしくてたまら
ない。
posted by ミヤマ カヨコ at 19:23| Comment(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
訂正:宮台真治→宮台真司
Posted by ミヤマ at 2017年03月10日 20:22
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